助言が欲しい…ちょっとした「わからない」をお聞かせください!
マルサン木型製作所では、お客様が求める製品特性・機械的性質を実現するために、企画段階から参画し、コンサルティングを行ってまいりました。
培ってきた知見・ノウハウをもとに、特に皆様より相談の多い、熱処理・素材に関するご質問にお答えします。同業の皆様も、お気軽にご相談ください!
こんな質問にお答えします!
金属製品メーカー様(従業員200名)
QAC2B、AC4A、AC4B、AC4Cの材料に差があるのかご教示お願いします。
AC2BとAC4BはCuを含有する合金です。
一方、AC4A、AC4CはCuを含有しない合金です。
市場のアルミ鋳物、ダイカスト材の半数以上はADC12でCuを含有しています。
従って、Cuを含むスクラップは比較的容易に入手でき、逆にCuを含まないAC4A、AC4Cのスクラップは選別が必要になります。
更に高純度なAC4CH合金は一般的に純アルミをベースに製造します。
工具メーカー様(従業員数1000名:プライム市場上場)
QADC12の一般的な脆性破壊形態について知りたいです。延性破壊の形態を取らないことはありますか。
アルミ鋳物は通常、基地となるアルミニウムとSiやAl-Cu等の晶出物の混合体です。
アルミニウム自体は低温においても脆性破壊はしません。常に延性破壊で壊れます。
しかし、Siはへき開破壊しますので、Si量が多い場合やSi粒径が大きい場合は伸びが少なく脆性的な破壊形態に見えます。
ADC12はSi量が比較的多いことと、焼付き防止のためにFeを多く含有しおり、
FeはAl-Feの金属間化合物を生成します。
両方とも脆い物質ですので、これらが多いと伸びが小さく脆性的な破壊形態になります。
ダイカストは凝固速度が速く組織も微細ですが、肉厚が厚い部位は凝固が遅く、これらの化合物も粗大に成長します。そのような場合は脆性的な破壊形態になります。
ダイカストメーカー様(従業員数 200名)
Q熱処理後、製品の膨張等変形することは御座いますでしょうか。
現状(社内TRY)ダイカストで、炉に入れた状態でヒーターが切れて放置してしまい、製品が伸びてしまっているので原因を調査しています。
ダイカスト品はT5処理することで必ず寸法は大きくなり、寸法変化はT5処理の温度と時間によって変わります。
ダイカスト品は鋳造時に急冷されることで、アルミ基地の中にSiやCuといった元素が固溶します。鋳物で言えば溶体化→焼入れした状態です。
この状態からT5処理をすると固溶していたSi、Cuが析出して寸法が大きくなります。この現象を永久成長と言います。
鉄道部品メーカー様(従業員数2400名:プライム市場上場)
QO材は焼鈍(焼きなまし)で硬度が最も高いという理解で良かったでしょうか。
O材は最も軟らかい状態になるように焼鈍(焼きなまし)したものです。
製造したままの物(F材)を加熱して柔らかくしたり、加工硬化で硬くなったものを柔らかくしたものです。
熱処理により最も硬い状態にしたものはT6材といいます。
金属製品メーカー様(従業員200名)
Qアルミの地金の性質を教えて頂きたいです。
アルミ鋳物の材料となる地金(インゴット)の製造方法は以下の方法があります。
1.新塊;純アルミに合金成分を添加してつくったもの。
2.再生塊;市場のアルミスクラップを再溶解して成分を調整したもの。
再生塊の中にも、スクラップを厳選することで不純物を少なくしたもの。および、不純物が多い再生塊があります。
これらはJIS(H2211)で規定されていて、
例えば、高純度のAC2B地金は、AC2B.2不純物が多い地金は、AC2B.1と規定されています。
相談窓口に頂戴する質問 一覧
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QAl-Siの共晶凝固について、SiCを添加した場合でも Siと同様の状態図になるのでしょうか。
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QAC2B、AC4A、AC4B、AC4Cの材料費に差はありますか? 材料選定の際に性質とコストの参考にしたいです。
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QT5処理について、炉から取り出して(ワークが高温のまま)から常温に戻す場合、自然に冷却(放置)しているのか教えて頂けないでしょうか? 他、御社知見として熱処理後、製品の膨張等変形する認識は御座いますでしょうか? 現状(社内TRY)ダイカストでその様なこととなっており全長180mmの製品が0.15伸びてしまっているので 原因を調査しています。
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Qアルマイト処理した部材の接合を行いたいです。 カシメだとカラーアルマイトが剥がれてしまうのですが、何か良い方法はないでしょうか?
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Qアルミ鋳物(4000系~6000系)+展伸材の接合方法を検討しています。 今のところは、アーク溶接もしくはファインレーザーを考えていますが、アルミ接合でのあるあるをご教授頂きたいです。
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Qダイカストにおける脱ガスの効果はどれほどと考えますか? 私どもの経験値では、それ以上に型内のガス&離型剤のガス化による影響が多大と考えています。
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QダイキャストCT5級の場合、角度寸法の許容差はどの級が適用されますか?
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Q亜共晶合金のマクロ結晶粒微細化について、Ti-Bによる微細化を実施しても冷却速度は変わらないため、引張強度も 変わらないとお聞きしました。 結晶粒が微細化されると強度が上がると考えていたので、なぜTi-Bによる結晶粒微細化では引張強度が変わらないのか、教えてほしいです。
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Q巣穴や湯引けを防止する対策法の1つとして真空引きがあるとの事ですが、 バキュームの際に融湯がバキュームに混入して故障してしまう恐れがあると思いますが、故障を防止する方法などが御座いましたらご教授賜りますと幸甚です。
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Q凝固速度が熱的性質(熱伝導率)へ影響を与えることはありますでしょうか。 また、溶湯の組成、凝固速度以外に、熱的性質へ影響を与える要素ありましたら、 ご教示いただけると幸いです。
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Q強度について質問です。T6の方がT5より強度が高いということでよろしいですか?
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Q弊社では、球状のジルコニアを使用しておりまして、表面にガラスを溶着するためそれを取除きたいと考えております。HPで御社の鋳造砂再生を拝見し、表面溶着物の除去加工ができるのではないかと考えました。本件について、除去加工は可能でしょうか?
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Q引張試験片をYブロックから削り出さない理由を教えてください。
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Q現在、不良原因調査でアルミ鋳物AC4A(F材)の割れ破面のSEM観察を行っているのですが、 熱間割れや引け割れなど鋳造欠陥を伴うものか、冷間割れや疲労破壊など使用状況を伴うものか、 判断が難しい状況です。ご助言をお願いできますでしょうか。
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Q硬質アルマイト、硬質クロムメッキ、無電解ニッケルメッキ等、アルミに有効な表面処理と選定方法について教えてほしいです。
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Q軽量化を目的に、自動車の様々な部品がアルミに置換されているということですが、 ブレーキ部品(キャリパ装置やブレーキディスク)もアルミ化が進んでいるのでしょうか。
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Q脱ガス条件(時間、流量、圧力等)についてご教授ください。αセット自硬性鋳型で重量は30kg程度です。
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QJIS規格の中でMgの含有量を更に細かく規制しようとしたとき、どれくらいの規格幅までできるものなのでしょうか?
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Qs-s線図から熱処理条件を決めて素材づくりをすることはできますか?
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Qアルミ材の圧縮応力に関しての考え方を知りたいです。 引張試験の結果から概算できるか、別途試験が必要か等、教えてください。
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Q鋳巣・ブローホール・非金属介在物の原因と対策が問題となっているのですが、助言をいただきたいです。
私が回答します!
株式会社マルサン木型製作所 技術顧問 林 壮一
1977年にトヨタ自動車工業株式会社に入社し、アルミ材料・部品の開発や生産技術開発に従事。2016年にトヨタ自動車株式会社を退職後、マルサン木型製作所に技術顧問として入社。現在は、培ったアルミ材料に関する知見と豊富な経験をもとに、お客様の難題解決を実現する提案を行っている。 公益社団法人 日本鋳造工学会をはじめとした団体で、多数の講師実績を持つ。