グラビティ鋳造って何?特徴やメリット

当コラムでは、グラビティ鋳造の特徴について紹介させて頂きますので、是非ご確認ください。

グラビティ鋳造(重力鋳造)とは

グラビティ鋳造は重力鋳造とも呼ばれ、英語では Gravity Casting と書きます。グラビティ鋳造は溶湯を重力落下により鋳型内に注湯する鋳造法です。鋳鉄鋳物は主に砂型を用いた重力鋳造により鋳造します。アルミ鋳物は砂型の他に金型を用いた重力鋳造法が用いられています。通常は静置した鋳型に注湯しますが、鋳型を傾転させながら注湯する傾動鋳造も重力鋳造の一種になります。

 

砂型重力鋳造の様子

図1.に砂型重力鋳造の注湯の様子を示します。砂で造型した鋳型に、溶湯をヒシャクで注湯します。砂型の見切り面は、通常、横(水平)方向です。注湯後、砂型を壊して鋳物を取り出します。

 

金型重力鋳造の型構造

図2.に金型重力鋳造の型構造を示します。金型の見切り面は、通常は縦(垂直)方向です。

金型を鋳造機に取付けて、連続的に注湯→鋳物取出し→型締め→注湯作業を繰り返します。量産の場合は、注湯および鋳物の取出しを自動で行う場合が多いです。

重力鋳造の特徴

溶湯は湯口の上方から重力加速度を利用して鋳型内に注湯します。少量生産では手注湯、量産では自動注湯機により注湯します。

重力鋳造の特徴は、凝固収縮巣(引け巣)を防止するために押湯を設けることです。低圧鋳造やダイカストなどの加圧鋳造では、圧力を加えて引け巣を防止しているため押湯はありません。

横見切りの鋳型(主に砂型)では、上型側の必要な個所にいくつも押湯を設けることができます。縦見切りの鋳型(主に金型)では、押湯を設ける位置に制約があります。

重力鋳造のメリット

ダイカストと比較した重力鋳造のメリットは、設備が簡素で、設備費が安いことです。

また、複雑な制御も不要で、簡単に鋳物を鋳造できることもメリットの一つです。

さらに、砂中子が使用でき、複雑な中空形状の鋳物を鋳造することができます。低圧鋳造も重力鋳造と同様に砂中子が使用できます。

重力鋳造のデメリット

重力鋳造は重力加速度により溶湯を注湯するため、圧力を加えて注湯するダイカストに比べて溶湯の充填速度が遅く、大型・薄肉の鋳物が作りにくいというデメリットがあります。溶湯を落下させて注湯するため、湯口底では空気の巻き込みや酸化物が発生します。巻き込まれた空気や酸化物が鋳物内に混入すると鋳造欠陥となります。

また、引け巣の発生防止のためには、押湯が必要になります。このため、低圧鋳造に比べて、方案歩留り=鋳物重量/(鋳物重量+方案重量)が悪くなります。

グラビティ鋳造は当社にご相談ください!

今回は、「グラビティ鋳造(重力鋳造)」について紹介させて頂きました。「グラビティ鋳造(重力鋳造)」の委託先を探している皆様、お気軽に当社にご相談ください。

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