アルミ鋳物の内部欠陥を可視化する ーCT技術がもたらす鋳物づくりの革新ー

当コラムでは、アルミ鋳物の内部欠陥の可視化について紹介させて頂きますので、是非ご確認ください。

アルミ鋳物特有の「見えない敵」:引け巣、ガス欠陥(ピンホール、ブローホール)

鋳鉄に比べてアルミ鋳物は、液体から固体に凝固する際の縮み量(凝固収縮量)が大きく、「引け巣」と呼ばれる鋳造欠陥が発生しやすい傾向があります。また、溶けたアルミは大気中の水蒸気と反応して水素(ガス)を吸収します。水素を吸収した溶湯を鋳造すると、鋳物の内部に細かな「ピンホール」と呼ばれるガス欠陥が発生します。
 

また、ガス欠陥には溶湯が鋳型内を流れていく際に、鋳型内の空気を巻き込んでできる「ブローホール」と呼ばれる欠陥もあります。写真1.にアルミ鋳物に発生する代表的な鋳造欠陥を示します。

鋳造欠陥

写真1.アルミ鋳物に発生する鋳造欠陥の一例

 

これらの鋳造欠陥は、鋳物の内部に発生するため機械加工後に見つかる厄介な欠陥です。

X線CTを用いた高精度な内部欠陥検査

鋳造欠陥には表面欠陥と内部欠陥の2種類があります。鋳物の内部欠陥を検査する方法には、主に次の二つの方法があります。

一つは鋳物を切断して、断面を目視または浸透探傷法により検査する方法です。もう一つは、非破壊で鋳物の内部を検査する方法です。

非破壊で検査する方法には、超音波を使う方法とX線を使う方法があります。超音波検査は主に板の様な平坦な材料の検査に用いられることが多く、鋳物ではX線を用いた検査がよく使われます。

X線を用いた検査方法には、透過X線検査とCT検査があります。どちらも鋳物にX線を照射して内部の状態を観察します。透過X線検査はレントゲン検査とも呼ばれ、一方向からX線を照射して二次元画像を取得することができます。しかし、深さ方向(表面からの位置)の情報はわかりません。

一方、CT検査は「Computed Tomography (コンピュータ断層撮影法)」と呼ばれ、さまざまな方向からX線を照射し、コンピュータでデジタルデータを再処理することで、三次元の透過写真を作成することができます。また、CT検査は鋳巣の有無だけではなく、鋳巣の大きさや面積率、鋳巣間距離なども算出できます。さらに鋳物の肉厚寸法やピッチなどの計測も可能です。

以上のことから、最近では切断検査や透過X線検査に代わってCT検査が用いられるケースが増えています。

写真2.CT検査装置の外観

写真3.CT断面画像の一例

 

製造現場への迅速なフィードバック

初品として鋳造した鋳物は外観検査、寸法検査と内部品質検査を行います。これまでは凝固解析結果を参考に、鋳物を切断してカラーチェック検査をしていました。
しかし、切断部以外の確認が難しいため、CTを用いて内部全体の品質検査を行います。検査の結果、内部に鋳巣が確認された場合は、鋳巣の部位を切断してデジタルマイクロスコープやSEMなどで鋳巣の観察を行います。鋳巣の内部を観察することで、写真1.に示した鋳巣の種類が特定できます。鋳巣の種類により対策を決めて、対策の効果確認トライを行います。

従来だと、鋳物を出荷して顧客先で加工した後に発見される内部欠陥を、早い段階で検出し対策を行うことで加工不良の低減につなげることができます。

 

マルチマテリアル化・鋳包みは当社にご相談ください!

今回は、「アルミ鋳物の内部欠陥の可視化」について紹介させて頂きました。CT検査や鋳造委託先を探している皆様、お気軽に当社にご相談ください。

 

この記事の執筆者

株式会社マルサン木型製作所 技術顧問 林 壮一株式会社マルサン木型製作所 技術顧問 林 壮一

1977年にトヨタ自動車工業株式会社に入社し、アルミ材料・部品の開発や生産技術開発に従事。2016年にトヨタ自動車株式会社を退職後、マルサン木型製作所に技術顧問として入社。現在は、培ったアルミ材料に関する知見と豊富な経験をもとに、お客様の難題解決を実現する提案を行っている。公益社団法人 日本鋳造工学会をはじめとした団体で、多数の講師実績を持つ。

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