試作開発を最短のリードタイムで実現 ー鋳造解析とCT技術を活用した効率的な砂型鋳造プロセスー
当コラムでは、鋳造解析とCT技術を活用した効率的な砂型鋳造プロセスについて紹介させて頂きますので、是非ご確認ください。
アルミ砂型鋳物の製造の流れと開発工数のムダの発生
砂型鋳造で鋳物を製造する際の一般的な流れを図1.に示します。
鋳物の鋳造欠陥(湯廻り不良、引け巣など)の発生に最も影響する工程が「鋳造方案設計」です。方案設計とは、鋳物を鋳造する際にどのように溶湯を流すのか(湯道方案)、引け巣の発生防止のためにどこに押湯や冷し金を設置するのか(押湯方案)などを設計する工程です。
過去に類似形状の事例があれば、それを参考にして設計します。しかし、類似事例がない場合はトライ鋳造を行い不良の発生の有無を確認します。不良が発生した場合は再設計して再トライ鋳造を行うためムダな工数が発生します。同様に機械加工後に加工面に鋳巣が見つかった場合も、再度の方案変更と木型の修正を行うことになり、再度の機械加工も含めて多大な工数のムダと納期遅れが発生します。

鋳造シミュレーションによる方案設計の効率化
新規形状の鋳物の方案設計を効率的に行うことができる手段が「鋳造シミュレーション」です。鋳造シミュレーションは鋳物の3Dデータを利用して、鋳物を細かな要素に分割します。隣り合う要素間の熱伝達を有限要素法などを用いてコンピュータで計算し、湯廻り不良(図2.)や引け巣の発生(図3.)を予測します。

鋳造シミュレーションは実際に鋳造しなくても鋳造欠陥の発生を予測できるため、コンピュータ上で鋳造方案をいくつか変更して最適な方案を選択できる有効な手段です。
しかし、シミュレーションは一定の計算条件(物質間の熱伝達係数、注湯時の溶湯温度や速度、凝固の開始・終了温度など)で解析するため、実際の鋳造条件のバラツキによって
は解析結果と実際の鋳物の不良の発生に乖離が生じる場合があります。解析では引け巣が発生していなくても、鋳物に引け巣が発生する場合があります。
また、解析では予測できない鋳造欠陥として、溶湯中の水素に起因したピンホールや、砂の粘結剤である樹脂が燃えて発生する砂型鋳物特有のガス欠陥があります。
シミュレーションと現物の乖離を埋めるCT検査
鋳造シミュレーションと、鋳巣などの内部欠陥を3D表示できるCT技術を組み合わせることで、さらに効率的にアルミ鋳物の開発試作を行うことができます。
① 解析結果とCT結果を重ね合わせることで、結果の相違を明確にできます(図4.)。この結果をもとに解析条件を見直すことで解析精度を向上することができます。

② CT検査を行うことにより、解析では予測できない砂型鋳物特有のガス欠陥を検出することができ、ガス欠陥対策に結び付けることができます。これらの欠陥は、後工程である機械加工工程で見つかることが多く、事前にCT検査を行うことで加工工程でのトラブルやムダな工数の発生を未然に防ぐことができます。ただし、対策を行うためにはCTの検査結果だけでは不十分で、顕微鏡やSEMを用いて欠陥の種類を特定することが重要です。

マルチマテリアル化・鋳包みは当社にご相談ください!
今回は、「鋳造解析とCT技術を活用した効率的な砂型鋳造プロセスー」について紹介させて頂きました。CT検査や鋳造委託先を探している皆様、お気軽に当社にご相談ください。
この記事の執筆者
株式会社マルサン木型製作所 技術顧問 林 壮一
1977年にトヨタ自動車工業株式会社に入社し、アルミ材料・部品の開発や生産技術開発に従事。2016年にトヨタ自動車株式会社を退職後、マルサン木型製作所に技術顧問として入社。現在は、培ったアルミ材料に関する知見と豊富な経験をもとに、お客様の難題解決を実現する提案を行っている。公益社団法人 日本鋳造工学会をはじめとした団体で、多数の講師実績を持つ。
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