鋳物のひけ巣とは?原因と対策

当コラムでは、鋳造欠陥の1つであるひけ巣についてご説明致します。ひけ巣はブローホールと併せて、代表的な鋳造欠陥であり、強度不足などの不具合につながるため、対策が必須とされます。原因や対策も含めてひけ巣についてご説明しますので、是非参考にしてください。

鋳物のひけ巣とは?

ひけ巣とは、鋳物内部の比較的大きな空洞のことです。溶融金属が固体に変わる際の凝固収縮時に発生します。ひけ巣は鋳巣の中の1つであり、ブローホールと併せて最も懸念される鋳造欠陥です。

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ひけ巣対策入門

凝固収縮とは

凝固収縮とは、温度が下がることで原子が規則的に配列されて液体から固体状態になる際、体積が減少することです。凝固収縮率は金属ごとに異なるため、鋳造対象となる金属の凝固収縮率を考慮した鋳型・工程設計を行う必要があります。

金属

凝固収縮率

Al

6.6%

Cu

4.9%

Zn

4.7%

Fe

4.4%

Mg

4.2%

ブローホールとひけ巣の違い

ブローホールとは、鋳造した際に鋳物内部に生じる空洞のことです。ブローホールは、鋳造時に空気やガスが溶融金属に巻き込まれることで発生します。ひけ巣が金属の凝固収縮を要因として発生するのに対し、ブローホールはガスや空気を要因として発生する鋳巣です。この点で、ひけ巣とブローホールは異なります。

ひけ巣の種類

ひけ巣には、内びけ巣と外びけ巣があります。

 

内びけ巣

内びけ巣とは、鋳物の内部に生じるひけ巣です。一般的にひけ巣というと、内びけ巣のことを表現されることが多いです。

 

外びけ巣

外びけ巣とは、鋳物の表面に生じるへこみのことを言います。内部の凝固収縮に影響を受け、外部にへこみが生じます。一般的に上型面で外びけ巣は生じ、湯圧が常時かかっている下型部には発生しません。

ひけ巣の原因と対策

前述の通り、ひけ巣は、凝固収縮により金属の体積が減少することで生じます。体積が減少した分を押し湯から補給することが出来ればひけ巣の発生を防ぐことができますが、凝固により押し湯からの補給が出来なくなると体積の収縮分がひけ巣となります。そのため、押湯を大きくする、適切な位置に配置するなど、鋳型設計段階での最適化が重要となります。また、厚肉部がある場合凝固に時間がかかるためひけ巣が発生しやすくなります。余計な厚肉部を設けず肉厚を均一化することも重要です。他に、鋳物形状によっては同時に凝固させず順次凝固させることも必要で、冷やし金を適切に用いた指向性凝固を行うことも効果的です。

ひけ巣にお悩みの皆様、アルミ鋳物 課題解決センターにご相談ください!

鋳造欠陥の1つであるひけ巣についてご理解頂けましたでしょうか。

アルミ鋳物 課題解決センターは、ひけ巣をはじめとした鋳巣が少ない鋳物を製造できる点を評価頂き、皆様に選ばれてきました。鋳巣の発生は、製品品質の低下に繋がるとともに、鋳物の再製作など製造リードタイムの長期化にも繋がります。ひけ巣にお悩みをお持ちの皆様、お気軽に当社にご相談下さい。

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