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鋳物“鋳巣”対策ナビ
鋳造欠陥の一つである鋳巣。鋳巣が発生すると強度不足などをもたらすなどの不具合に繋がるため、対策が必要となりますが、鋳巣の回避には鋳型設計ノウハウや条件を最適化する等の鋳造技術が求められます。ここでは、鋳巣の基礎と鋳巣発生を抑えるためのポイントをご説明します。
鋳巣とは？
鋳巣とは、鋳物の内部に発生する空洞のことです。鋳巣は「巣」と呼ばれることもあります。口述しますが、一言で鋳巣といっても種類は複数あり、それぞれで発生原因や対策は異なります。鋳巣は空洞であり鋳物の強度不足につながります。また、鋳物内部にでき、外観では判断がつきません。そのため、二次加工時に鋳巣が見つかり全品再製作が必要になる場合もあり、特に対策が必要な鋳造欠陥であるといえます。
コストや納期よりも「鋳巣の少なさ」を企業選定のポイントにする方が多いのは、鋳巣のもつこのような性質が理由です。
鋳巣の種類
鋳巣にはいくつかの種類があり、代表的なのは「ひけ巣」と「ブローホール」です。
ひけ巣は、凝固収縮により金属の体積が減少し、生じた比較的大きな空洞のことを言います。ブローホールは、溶融金属と介在物や鋳型などの物質が接触した際に反応を起こし、生じたガスが巻き込まれることで発生します。ひけ巣と比較し小さい穴となります。
鋳巣対処のポイント
上述の通り、鋳巣の対策は、製品品質の維持及び再製作等の回避によるコスト上昇の防止を行うために非常に重要となります。鋳巣を対処するポイントはいくつかございますが、ここでは、3つのポイントをご紹介します。
Point1
注湯温度や押し湯・冷やし金の位置を最適化し 凝固収縮による鋳巣発生を回避
鋳巣の発生を回避する上で、注湯温度や押し湯・冷やし金の位置を最適化することは最重要課題になります。最適な注湯温度は材質や形状、製品サイズにより異なります。そのため、製品一つ一つに最適な「鋳造条件表」を作成して管理し、その内容に則り確実に鋳造をしていくことで鋳造欠陥の少ないアルミ鋳物品を生産することができます。
また、冷やし金は一番最初に凝固してほしい箇所に設置し、押し湯は一番最後に凝固する箇所に設置するのがセオリーです。鋳造解析により凝固の流れを確認し、設置個所の最適化が重要となります。
Point2
木型製作段階における鋳造解析を行う
指向性凝固の観点のもと、湯道・押湯・冷し金・ガス抜きをデータ上で作成、解析ソフトでシミレーションしたうえで、木型設計を最適化することが、鋳巣を回避するうえで重要となります。木型データの段階でトライ＆エラーをデータ上で繰り返し行い、結果導き出された鋳造方案を木型に設定します。シミュレーションした結果を事前に木型へ盛り込み実際の試鋳を行うことにより、良好な鋳造方案でのトライを行うことができ、試鋳回数を減らすことにより、短納期に貢献するとともに、品質を高めることができます。
鋳造メーカー選定の際には、鋳巣による不良率をヒヤリングするとともに、暗黙知である経験・ノウハウだけでなく、鋳造解析を行うことで、木型設計を最適化しているかを確認する必要があります。
アルミ鋳物 課題解決センターでは、アルミ鋳物品を製作する上で、初期段階である木型設計工程にて鋳造方案解析ソフト「ADSTEFAN」を使用しデータ上で鋳造解析を行っており、試作品における鋳巣を原因とした不良品発生率を0.1％以下に抑えております。
Point3
生産前検証を行い鋳造欠陥の確認、
必要に応じて機械加工も行い内部品質を保証する
本生産前の試鋳時に、生産前検証を行い、鋳造欠陥の有無を確認することが重要です。アルミ鋳物 課題解決センターでは、アルミ鋳物品のカラーチェックによる欠陥確認を行っています。
鋳造欠陥が懸念される箇所は素材を割断したうえでカラーチェックを行い、内部での素材の鋳巣を細かく検証します。又、必要に応じて、社内で機械加工を行い、内部品質の検証も行います。
欠陥が認められた場合は再度方案対策を行ったのち再トライを行い改善することで、内部の鋳造欠陥を保証した状態で本生産を行います。
鋳造メーカーにより、生産前検証の方法は様々です。外観ではわからない鋳巣の生産前検査体制を構築している鋳造メーカーの選定が重要となります。
鋳巣対策の事例
これまで、アルミ鋳物 課題解決センターを運営するマルサン木型製作所が行ってきた鋳巣対策の事例をご紹介します。
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