鋳物用アルミニウム合金とダイカスト用アルミニウム合金の特徴
アルミニウム材料は板、押出材、鍛造などの展伸材と鋳造材に大別されます。
そして鋳造材は鋳造時の加圧力の大きさにより、
(1)重力鋳造、低圧鋳造などの加圧力が0.1MPa以下の鋳物材
(2)加圧力が数十MPa以上の高圧ダイカスト、いわゆるダイカスト材
に大別されます。
通常、展伸材に使用される合金はSiを含まないか、Si含有量が1%以下程度の合金です。
一方、鋳造に用いられる合金の多くはSiを4%以上程度含有する合金となります。
鋳物用アルミニウム合金とダイカスト用アルミニウム合金の種類
鋳物用アルミニウム合金とダイカスト用アルミニウム合金の種類を表1.に示します。
JIS規格では鋳物用合金はJAC**、ダイカスト用合金はADC**の記号が付与されています。鋳物用合金、ダイカスト用合金ともに類似の合金が規定されています。
合金系が同じであれば、鋳物用合金もダイカスト用合金も同様の特性を持っています。
鋳物用アルミニウム合金とダイカスト用アルミニウム合金の化学成分
表2.に代表的な鋳物用合金とダイカスト用合金の化学成分を示しています。同じ合金系であれば成分含有量に若干の差異はありますが、同様の元素が添加されています。
これらの成分の内、鋳物用とダイカスト用で違いがあるのはFe含有量です。
アルミニウムと鉄はお互いに拡散しやすい元素であり、界面に合金層を形成しやすくなります。
ダイカストは高圧で鋳造するため、拡散が生じやすく合金層ができやすく、その結果、凝固した鋳物と金型に焼付きが発生します。
溶湯中のFe量が高い方が焼付きにくい(拡散が抑えられる)と言われており、ダイカスト用合金はFeを1%程度含有しています。
一方、鋳物用合金ではFe量が高いと引け巣が発生しやすくなります。従って、Fe量は高くても0.6%程度で使用する場合が多いです。Fe量が高いダイカスト用合金を重力鋳造や低圧鋳造で鋳造する際は注意が必要となります。
また、FeはAlおよびSiと結合して針状の化合物を形成します。この針状化合物は材料の伸び、靱性を低下させてしまいます。近年はボデー部品にアルミダイカストが使用されており、伸び、靱性を確保して金型との焼付きを防止するためにFe量を少なくして、Mnを添加した合金が使用されています。
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今回は、鋳物用アルミニウム合金とダイカスト用アルミニウム合金の特徴について紹介しました。
当社では、ADC12の砂型鋳造など、他社には難しい困難な砂型鋳造が可能です。
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