ダイカスト鋳造とは?工法とその特長について

当コラムでは、ダイカスト鋳造の特徴について紹介させて頂きますので、是非ご確認ください。

ダイカスト鋳造とは

「ダイカスト」をそのまま英語に訳すと、「Die Cast」となります。Dieは金型、Castは鋳造ですので、 「Die Cast」 を和訳すると「金型鋳造」になります。金型は「Permanent Mold」とも呼ばれ、砂型(Sand Mold)と対比した名称です。従って、ダイカスト(Die Cast)は金型を使った鋳造法となり、ダイカストだけではなく金型重力鋳造や金型低圧鋳造も含まれます。

通常、日本で「ダイカスト」と呼ばれる工法は、英語では「High Pressure Die Cast」と呼ばれています。そのまま和訳すると「高圧金型鋳造」となり、読んで字のごとく「高圧を加えて凝固させる金型鋳造」=いわゆる「ダイカスト」になります。ダイカストは溶湯を高速で金型内に射出し、高圧を加えて凝固させます。ランナー(湯道)からキャビティ(製品部)に溶湯が流入するゲート(堰)を通過する際の溶湯速度は数十m/秒になります。また、射出完了後に溶湯に加える圧力は数十MPaになります。

ダイカスト鋳造の流れ

ダイカスト鋳造機の概要を下図に示します。
金型は左右方向に移動する「可動型」と鋳造機に固定された「固定型」からなります。鋳造機は金型を開閉する「型締め機構」、ピストンを作動させる「射出機構」、溶湯を鋳型内に流し込む「注湯装置」、金型の表面に潤滑剤を塗布する「スプレー装置」などで構成されます。

主な工程は次のようになります。

 

 

①離型剤塗布

溶湯と金型のかじり・焼付き防止のため、スプレー装置により金型に離型剤を塗布します。

 

②型閉め

離型剤塗布後に可動型を移動させて金型を閉じます。

 

③注湯

ラドルで溶湯を汲んで、スリーブ内に溶湯を注ぎます。

 

④射出

ピストンを作動させて、溶湯を金型内に射出します。一般的に、射出速度は射出の途中で低速から高速に切替えします。

 

⑤加圧

型内に溶湯を充填した後に、溶湯に圧力を加えて凝固させます。

 

⑥型開き、製品取出し

凝固完了後に型を開いて、押出ピンで製品を押し出します。

 

⑦冷却、トリミング

取り出した製品は水槽で冷却され、その後に製品部以外のランナー、オーバーフローなどをトリミングプレスにより除去します。

構造

ダイカスト鋳造の特長

ダイカストの主なメリットとデメリットを以下に示します。

 

メリット

・金型内部は水で冷却されており、鋳物の凝固速度が速い。このため、サイクルタイムが短く生産性に優れます。

・鋳物の凝固組織が細かく、機械的性質に優れます。

・注湯速度が速く、薄肉形状の製品が成形可能です。

・鋳肌の面粗度が良く、条件によってはネジ締結面の加工レス化が可能です。

 

デメリット

・初期の設備投資に費用がかかります。

・砂中子が使えないため、複雑な中空形状の製品は鋳造が困難です。入れ子(金型)による直線的な方向の鋳抜きは可能です。

・金型内の空気の巻き込みに起因した鋳造欠陥が発生しやすい。対策として、型内を真空にして鋳造する真空ダイカストなども使われています。

・高速、高圧で溶湯を型内に射出するため、金型の溶損や焼付きが発生しやすい。

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今回は、ダイカスト鋳造の特長についてご紹介させて頂きました。
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