砂型鋳造に使用される鋳物砂、再生砂についても解説

砂型鋳造では、文字通り、鋳型に砂が使用されています。当技術コラムでは、砂型鋳造に使用される砂の特徴や、再生砂についてご説明します。是非参考にしてください。

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鋳物砂

砂型には、一般的には砂場や川、海にある砂、すなわち珪砂を使用しています。特殊な例として珪砂の他にジルコン砂や人工砂を使う場合もあります。これらは、鋳物を製造するために使用されるため、鋳物砂と呼ばれます。

砂だけでは固まらないので粘結剤(樹脂)と硬化剤を一緒に混練し、樹脂を硬化させて鋳型を固めます。

アルミ鋳物 課題解決センターで使用しているフラン鋳型では、フラン樹脂を粘結剤にして有機スルホン酸などの酸を硬化剤として硬化させています。

砂型からのガス発生と再生砂

前述のとおり、フラン鋳型をはじめ自硬性鋳型は樹脂を粘結剤(バインダー)として砂型を固めています。この砂型に700℃以上の溶湯を注湯すると、樹脂が燃えてガスが発生します。この燃焼ガスが鋳物の品質に悪影響する場合があります。

一方、鋳型の砂は何回も使い回しできます。つまり、一度使用した砂でも再生砂としてリサイクルできるわけです。

新砂の表面はきれいですが、再生砂の表面には樹脂が燃えた残渣が付着しています。この残渣をある程度除去することを砂の再生処理と言います。

鋳物砂の再生工程

①注油

砂型が完成した後、溶湯を注油することで鋳物が製造されます。

 

②解枠(バラシ)

凝固後に鋳型を壊し、鋳物と砂を分離します。

 

③砂の回収

砂はコンベアーによりタンクに回収し再生装置へ搬送されます。

 

 

 

 

砂回収タンクの写真であり、ばらされた砂はまず回収タンクに搬送されることになります。

④砂の再生

回収した砂は再生装置により表面の樹脂の燃え残りを研磨して除去されます。研磨により発生した微粉は集塵機で回収します。

 

 

 

 

⑤砂の冷却

再生された砂は、冷却してから混錬装置に搬送されます。

 

 

 

 

 

⑥再生砂の混錬

再生砂にバインダー、硬化剤を混ぜて混練し、再度造型します。

鋳物砂の粗さ(粒度分布)

山や海で採取された砂は細かな砂から粗い砂まで混ざっています。砂を販売する砂メーカーはこれらの砂を篩(ふるい)により粒径ごとに分類して販売しています。

砂の粒度(サイズ)は「号」で表されます。号数が小さいほど砂の粒径が粗く、号数が大きいほど粒径は細かくなります。

アルミ鋳物 課題解決センターを運営するマルサン木型製作所が使用している新砂のサイズは7号と8号です。細かな砂を使うと、鋳物の表面(鋳肌)粗さが細かくなり見栄えの良い鋳物ができます。

ただし、砂が細かいと通気度が低く、鋳型の燃焼ガスが逃げにくく鋳造欠陥が発生しやすい

という短所もあります。

砂のサイズと粒径を測定した粒度分布の一例を下表に示します。

鋳物砂と健康管理

造型およびバラシ作業を行う場合、砂が飛散します。床に落ちない、目に見えないくらいの細かな砂(微粉)は大気中をただよって呼吸時に吸い込まれ健康上の問題に繋がるリスクがあります。

 

細かな砂(微粉)を吸い込むことで珪肺という肺疾患になることがあります。珪肺は数十年してから慢性的な咳や運動時の呼吸困難などの症状が現れます。

鉱山で削岩機を使って鉱物を掘り出す鉱夫や石を加工する石工などの人が珪肺にかかるリスクが高くなるのと同様に、砂を扱う鋳物屋も珪肺のリスクがあります。

 

煙草を吸う人がすべて癌になる訳ではないのと同じで、微粉を吸った人全員が珪肺になる訳ではなく、珪肺になる確率(リスク)が高くなるということです。微粉を吸い込むことが原因であるため、対策としては「確実に防塵マスクを着用する」ことが重要です。

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鋳物砂と再生砂について、ご理解頂けましたでしょうか。アルミ鋳物 課題解決センターを運営するマルサン木型製作所は、7号・8号砂という細かい鋳物砂を使用することで、表面租度の優れた鋳物の製造が可能となっています。

アルミ鋳物に関してお悩みをお持ちの皆様、お気軽に当社に御相談ください!

 

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