-技術支援機関-


「アルミ鋳物製品が使用時に割れが発生した。
その原因調査のためにSEM観察を実施した。
破面を見て亀裂発生の原因を調べたい。」

という事でしたら、以下のように考えられます。
割れは疲労破壊と急進破壊の二つに分類されます。

疲労破壊は繰返し応力ににより、割れが進展しますのでストライエーションというすじ模様が見られます。
ただし、アルミ鋳物のストライエーションはAC4A、AC4C、AC4CHのような伸びがある材料で観察されます。
伸びの低い材料では観察されません(されにくい)。

ストライエーションを逆方向にたどると亀裂起点がわかる場合があります。
起点には何もない場合と、鋳造欠陥が存在する場合があります。
何もなければ設計応力が高すぎるという事です。
鋳造欠陥があれば、欠陥への応力集中が原因と考えられますが、アルミ鋳物で鋳造欠陥が皆無と言うことはまず、ありません。
ざっくり1mm以上の欠陥であれば、欠陥が原因と考えられますが、0.5mm以下程度であれば設計応力を低くする事です。

急進破壊は1回の応力で破壊する形態です。
破面としてはディンプル+Siのへき開破面になります。
原因としては組付け応力、熱応力、実動応力の和が材料強度(引張強さ)よりも高すぎるという事です。
もう一つ考えられるのは、鋳造時または鋳造後(熱処理時を含む)に鋳物に亀裂が入っていたという事です。
どちらも疲労破面とは異なった形態になります。
急進破面の原因が何かは破面観察ではわかりにくいと思います。