アルミ合金はJISで規格化されているもの以外にも多数あります。たとえば、米国のAluminum Association(AA)の合金登録では、登録されている組成は現在500種類超あります。国内でもJIS以外に、自動車メーカー・鋳物メーカー・材料メーカーが独自材(独自成分レンジや微量元素添加)を持っているのが実情です。
ただし「全く新しい合金系が出てきたか」という意味では、ここ数十年の主流は“既存の合金系(Al-Si、Al-Cu、Al-Mg等)の範囲で、成分レンジや微量元素、溶湯品質、熱処理、鋳造プロセスを詰めて性能を出す”方向が中心です。つまり、材質番号が増えることはあっても、考え方としては既存系の改良が多いという整理になります。
「新材料」と呼べるものを挙げるなら、合金そのものというより“材料形態・製法”で次の2系統が代表例です。
MMC(複合材料)
セラミックス繊維/ウィスカー等でアルミを補強した材料で、トヨタは1990年代にディーゼルエンジンのピストン部などで適用例があります。高温耐久や耐摩耗の狙いです。一方でコスト・製造性・取り扱い面のハードルがあり、用途は限定的になりがちです。
急冷凝固粉末(Rapid Solidification)を使った粉末冶金アルミ合金
急冷凝固で微細組織を作った粉末を固めることで、強度や耐熱特性を狙う系統です。研究・航空宇宙分野などでは古くから蓄積がありますが、一般用途ではやはりコストや工程の制約でニッチになりやすい、という位置づけです。
弊社としては、基本はJIS合金を使って鋳造しています。その上で、お客様の要求(強度・伸び等)がある場合は、主要元素の成分レンジを狭く管理したり、微量元素添加で調整する、あるいは熱処理条件を振って狙い値に寄せる、といった実務対応になります。摺動部品などで耐摩耗性が要る場合は、Al-Si過共晶系の適用を検討します。新規に“全く新しい合金を開発する”というより、既存合金系の中で要求性能に届かせるための設計・管理を行う、というスタンスです。














