熱膨張・熱収縮を利用して圧入する方法として、焼き嵌め(加熱して入れる)と冷やし嵌め(冷却して入れる)があります。冷やし嵌めは低温保持が難しいため、一般には焼き嵌めが用いられます。
ご相談内容として、7075の穴に5052のスリーブを装着するケースを想定します。仮にスリーブ外径が20mmで、圧入の締め代を0.1mmとすると、7075側の穴径は19.9mmにしておく必要があります。この19.9mmの穴径を、加熱によって20.0mmまで広げるための加熱温度を概算します。
7075の線膨張係数を23.4×10^-6/℃、室温を20℃とすると、
0.1mm=19.9mm×23.4×10^-6×(T-20℃)
より、(T-20℃)≒215℃、したがってT≒235℃となります。
つまり、7075をおよそ235℃まで加熱してスリーブを挿入すればよい、という計算になります(挿入時のクリアランスは0として概算)。
ただし、ここで重要なのはアルマイト皮膜の扱いです。アルミ素地の線膨張係数は約24×10^-6/℃程度ですが、アルマイト皮膜の熱膨張はその約1/5程度と小さく、母材が膨張する際に皮膜が追従できず、皮膜に割れが生じます。アルマイト皮膜は母材との熱膨張差で割れが生じることがあるため、高温での加熱は避け、温度を上げる場合も条件には注意が必要です。目安として、100℃前後でも割れが出る場合があります。
結論として、焼き嵌め自体は有効な接合法ですが、カラーアルマイトを維持したい場合は「アルマイト皮膜を加熱しない」前提で工程を考える必要があります。なお、「耐熱アルマイトであれば焼き嵌め可能か」という点は、別のQ&Aで補足します。














