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少し専門的になりますが、モビリティ材技と言うことでご理解いただけるかと思います。

まず、金属の結晶の形態ですが、鋼等、粒状の結晶形態があります(これをセルと呼びます)。
一方、Al-Si合金の場合セルでは成長せずに、デンドライト(樹枝状晶)で成長します。

セル状凝固の場合は、結晶粒径と強度に関係があり、一般的にホールペッチの式として知られています。
デンドライト凝固の場合は、デンドライトの枝の間隔(DAS)が強度と関係があります。

結晶は最初に核ができて、そこから結晶が成長していきます。
Al合金の結晶微細化剤のTiBは、核の生成サイトとして働きます(不均質核生成)。
従って、TiBを添加することで、核生成サイトが増えて、あちこちでデンドライトが成長します。

ミクロ組織とマクロ組織について、添付のpdfに示します。
デンドライト=DASの大きさは凝固速度=鋳型の抜熱速度によります。

一方、マクロ組織(マクロ結晶粒)はデンドライトの結晶方位に関係するものです。
TiB添加で、あちこちで結晶核ができて、結晶が色々な方向に成長します。
このため、方位が異なるマクロ結晶粒は細かくなります。
しかし、DASは凝固速度に起因するため、鋳型の種類や鋳造法が変わって凝固速度が変わらない限り、変化しません。
同じ鋳造方法、鋳型でTiBを添加しても、マクロ結晶粒は細かくなりますが、DASは変わりません。
従って引張強さは一緒です。