鋼や鋳鉄は、通常エッチングを行って組織観察を行います。なぜなら、エッチングをしないと基地が真っ白に見え、組織がわからないからです。鋼や鋳鉄では、基地がオーステナイトという組織からフェライトやセメンタイトなどの組織に変化するため、酸などでエッチングを行うことで、旧オーステナイトの結晶粒界やフェライトなどの組織を観察することができます。

一方、アルミ合金では基地の変化は生じません。アルミ鋳物やダイカストでは、アルミ基地中にSiやAl-Cu化合物が晶出した組織になっており、エッチングを行わなくても組織観察が可能です。鋳物とダイカストでは凝固速度が異なるため、組織の粗さにも違いが見られます。

参考として、ダイカストと砂型鋳物の組織を示します。晶出している化合物は同じですが、組織の粗さが異なります。ダイカストは組織が非常に細かいため、やや見えにくいかもしれませんが、白い部分がアルミ基地、黒く点々と見える部分が共晶Siです。

ダイカスト品と砂型鋳物の金属組織の比較