アルミ合金は基本的に延性材料であり、鋼材に見られるような低温脆性による脆性破壊は起こりません。ただし、鋳物用アルミ合金はSiを含有するため、Siを含まない展伸材と比べると破断伸びは小さくなる傾向があります。
クリープとは、高温環境下で長時間にわたり一定の応力を受けることで、徐々に変形が進行する現象です。アルミ合金では、100℃を超えるあたりから使用条件によってはクリープの影響を無視できなくなる場合があります。クリープ特性は合金系によって異なり、一般にCuを含有する合金はクリープ強さが高くなる傾向があります。
ご相談内容からすると、「ハブの径が大きくなっている」という理解でよいでしょうか。クリープは応力が作用していなければ変形は生じません。回転体の場合、遠心力による応力が発生しますが、その応力状態によってはハブよりもブレード側の方が変形しやすいケースも考えられます。まずは、どの部位が、どの方向に、どの程度変形しているのかを確認することが重要です。
高温に長時間さらされたアルミ材料で、寸法が大きくなる現象として「永久成長」が知られています。T6処理を施したアルミ合金であっても、長時間の加熱により寸法変化が生じることがあり、ダイカスト部品でも同様の現象が確認されています。お問い合わせ内容ではAC8A-Fとありますが、240~260℃という高温環境では、仮にT6処理材であっても、性質が戻る(時効効果が失われる)温度域に該当します。そのため、F材で間違いないか、あるいはT4/T6/T7などの熱処理履歴が存在するかについては、事前に確認が必要です。熱処理履歴の有無によって、寸法変化の評価や考え方は大きく変わります。
疲労強度は、繰り返し応力によって破壊に至る現象であり、基本的には割れの発生・進展が問題となります。温度が高くなるほど、高温疲労強度およびクリープ破断強さはいずれも低下します。高温域では疲労とクリープが相互に影響する場合もありますが、「径が広がる」という現象だけに着目すると、疲労単独よりも、クリープや永久成長、あるいは締結条件や嵌合状態などの機械的要因を優先して疑うのが現実的です。変形位置の特定、変形が全周で均一か局所的か、熱処理履歴、ならびに応力のかかり方を整理すると、判断しやすくなります。
アルミ鋳物の耐熱性については下記の用語集をご確認ください。
https://marusank.jp/glossary/%E8%80%90%E7%86%B1%E6%80%A7/?utm_source=chatgpt.com
また、内径寸法が規定値を超えてしまう問題については、下記のFAQをご確認ください。
https://marusank.jp/qa/%E9%80%81%E9%A2%A8%E6%A9%9F%E3%81%AB%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8Bac4c-f%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%81%AE%E5%86%85%E7%A9%B4%E9%83%A8%E3%81%AE%E8%86%A8%E5%BC%B5%E5%AF%B8/














